えのぐ日記

小学校で図画工作専科の教諭をしています。

型を受け継ぐ芸術、そうでない芸術

型を学ぶことも、美的探求ではないのか? アーティストの定義は、「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、「自分なりの答え」を生み出し、それによって「新たな問い」を生み出すとされている(「13歳からのアート思考」末永幸歩著)が、職人と呼ばれる人…

色は香る、移り変わる

色は匂へど散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ 有為の奥山今日超えて 浅き夢見じ酔いもせず この「いろは歌」の「色」はサンスクリット語のrupa(ルーパ)に由来し、「全て存在するもの」という意味で、仏教の無常観や色即是空もしくは空即是色を歌い上げている…

おすすめの本『子供の世界 子供の造形』松岡宏明著

『子供の世界 子供の造形』松岡宏明 著 三元社 この本は子育てに関わるすべての人の家に、置いておいてほしい。そう思えるくらいの本に出会えた。そう思えるのは、かなり読みやすく、丁寧に語られているからというのもあるし、内容が今まさに私が問題視して…

絵が上手く描けないことを、子どもたちは指導されないといけないのか

うちの小学校ではなぜか毎年、自画像を描かせる。 毎年2月に1年の総まとめとして作品の展覧会があるのだが、そこで全学年、全員の自画像が展示され、展示期間が終わると台紙に貼りつけられ、6年間その台紙に毎年の自画像をためていく。6年生の台紙を見る…

なぜ美術教師は教科書を使わないのか

なぜ美術教師は教科書を使わないのか。 私も含め、多くの図工・美術の教師が図工・美術の教科書を使っていない。 私の恩師である図工・美術の先生は誰も使っていなかった。私が小・中学生の時、図工・美術の教科書は家で眺めるためのものだった。小学校でも…

触覚的平面構成

名月を取ってくれろと泣く子哉 小林一茶 触覚は一番幼稚な感覚だと言はれてゐるが、しかし其れだから一番根源的なものと言へる。彫刻は一番根源的な芸術である。 高村光太郎 名月を取ってくれ、と言ったことはないが、あの雲を食べたい、と言った思い出はあ…

平面の研修案

地域の研修では平面グループに所属することになり、6月あたりから研修の計画を立てていた。 以前書いたように、私は「平面」「立体」という分け方に違和感を感じており、平面とは何か、平面という領域の可能性とは何かと考えていた。 そして、平面の研修をす…

「思いを込めて表しなさい」

「死んだ子どもの残したものは ねじれた足と乾いた涙 思い出ひとつ残さなかった」 ―谷川俊太郎『死んだ男の残したものは』より この詩を「思いをこめて音読しなさい」と教師が言うことについて考える。 武満徹氏がこの詩に曲をつけており、武満氏は「この曲…

自由は単調ですぐ飽きる

ある研修で、封筒に絵を描くというワークショップに参加した。 いわゆる「絵封筒」というもので、封筒に貼りつける切手から連想して絵をつなげたり、切手を絵の一部のようにしたりする。 中学生向けの授業展開を実際にデザイナーを学校に呼んで行った実践報…

平面と立体

地域の図画工作科の先生が集まって毎年研修をする。人数が多いので3つのグループに分けられる。 「平面」「立体」「鑑賞」 の3つである。 なぜこの3つなのかわからない。不思議である。 「平面」はつまり二次元の表現のことである。 平面作品は、フランス…

はじめました

現在小学校で図画工作専科の教諭している。 日々感じたことを書き留めていく。 自分の職業は思ったより特殊らしい。 久しぶりに会った友達にコーヒーを飲みながら、 ブログをやってみたら? と言われた。 確かに、書き留める、記録しておくということは今後…